糖尿病を予防するためにはどうすればいいのか解説します!

健康予防

 糖尿病の患者数はどんどん増加しているといわれています。一度発症すると完治することがありません。症状が進行すると失明したり足を切断したりすることもあるため、日頃から糖尿病を発症しないように予防しながら生活することが大切です。

 しかし、予防といわれても具体的に何をすればよいのかわからないという方がほとんどでしょう。そこでこの記事では、糖尿病の予防に効果的な3つの方法について詳しく紹介します。簡単な予防法もありますので、ぜひ今日から実践してみてください。





| 糖尿病とは

 糖尿病とは、血糖値が高い状態が続く病気のことです。健康な方であれば、インスリンの働きにより血糖値が異常に上昇することはありません。しかし、インスリンの分泌量が少なかったり、分泌されていても働きが悪かったりすると血糖値が下がらず上がった状態が続いてしまうのです。

 血糖値が高い状態が続くことで、次第に血管が傷ついてボロボロになり神経障害や網膜症、腎障害などの合併症を引き起こしやすくなることが問題となります。時には脳卒中や虚血性心疾患などを発症することもあるため、糖尿病になった場合は日々の血糖値コントロールがとても重要です。

 糖尿病には、大きくわけて 1型糖尿病 2型糖尿病の2種類があります。1型糖尿病とは、膵臓にあるランゲルハンス島β細胞が破壊されることで、インスリンが分泌されなくなることで起こるものです。本来は細菌やウイルスに反応するはずの免疫が、自己を攻撃することで発症します。

 2型糖尿病は、遺伝や生活習慣によってインスリンの分泌量が減ったり働きが悪くなったりすることで発症するものです。生活習慣病として糖尿病の話をする場合は、こちらの2型糖尿病を指します。

 日本人が発症している糖尿病の多くは2型のほうです。糖尿病の疑いがある方も含めると、全国に 約1,870万名もの患者さんがいるといわれています。


| 糖尿病の原因

 糖尿病といっても、1型糖尿病と2型糖尿病はまったく別のものです。それぞれ原因が大きく異なります。

 1型糖尿病は、インスリンの分泌量が減ることが原因です。インスリンを作る工場である ランゲルハンス島β細胞が破壊されるため、インスリンの分泌が弱まってしまいます。なぜランゲルハンス島β細胞が破壊されるのかはよくわかっていませんでしたが、最近では自分の免疫が誤って攻撃することが原因ではないかと考えられています。

 実際に1型糖尿病の患者さんでは、抗GAD抗体、抗IA-2抗体などのさまざまな自己抗体が血液検査で見つかっているのです。

 2型糖尿病は、遺伝や環境要因によってインスリンの分泌量が減ったり、インスリン抵抗性が増したりすることで発症します。インスリン抵抗性が高くなると、インスリンの働きが悪くなるため、分泌量が十分であっても血糖値は下がりません。

 環境要因としては、肥満や過食、運動不足やストレスなどが挙げられます。生活習慣も関係しているため、2型糖尿病は生活習慣病の一つとして扱われることがほとんどです。

 ただし、遺伝的な要因も関与しているので、2型糖尿病を発症したすべての方で生活習慣に問題があるとは言い切れません。両親が2型糖尿病の場合、子どもは 3~4倍も発症リスクが上がるといわれています。


| 糖尿病の予防方法 ①食事について

 糖尿病の予防で大切なのは、食事と運動、そして睡眠です。まずは食事について解説していきましょう。糖尿病を予防するための食事でもっとも大事なのは、血糖値が上がりにくいように心がけることです。

  • 食事は炭水化物ではなく野菜から食べ始める
  • お腹がいっぱいになるまで食べない
  • ゆっくりよく噛んで食べる
  • 間食をしない
  • アルコールの飲み過ぎに注意する

 まずは、野菜から食べ始める習慣をつけましょう。野菜には食物繊維が含まれているため、血糖値の上昇を緩やかにする働きがあります。きのこ類や海藻も食物繊維が豊富なので効果的です。炭水化物やメインのおかずを食べる前に、野菜でお腹を少し満たすようにしてください。

 食べ過ぎは体に余分な ブドウ糖が溜まるため、糖尿病を発症させる大きなリスクとなります。満腹になるまで食べず、腹八分目で食事を終えるようにするのが理想です。食べ過ぎは肥満や高血圧、脂質異常症にもつながるため、適量を食べるように心がけましょう。

 ゆっくりよく噛んで食べると満腹中枢が刺激されるので、少量でも満腹感を得やすくなります。早食いをせず少しずつよく噛んで食べることは、血糖値の急上昇を防ぐのにも有効です。

 間食もできるだけ控えましょう。食事と食事の合間にちょこちょこ食べることでその都度、膵臓に負担がかかります。インスリンは膵臓にあるランゲルハンス島β細胞から分泌されているため、膵臓に負担をかける生活をしていると血糖値が上がりやすくなるので注意しましょう。

 また、アルコールを長期間にわたり摂取していると、インスリンの分泌量が減ってしまうことがわかっています。糖尿病のリスクを高めることにつながるので、節酒を心がけることも大切です。


| 糖尿病の予防方法 ②運動について

 糖尿病の予防には、 有酸素運動 レジスタンス運動が推奨されています。まずはウォーキングやジョギング、水泳や自転車などの有酸素運動から始めてみましょう。

 中等度の強度で行うようにしてください。50歳未満の方なら 100~120拍/分、50歳以上なら 100拍/分を目安に体を動かすと、中等度の運動ができます。少しきついと感じるくらいの運動強度だと思っておくとよいでしょう。

 有酸素運動は、できるだけ毎日行ってください。少なくとも 週に3~5回、1日に20~60分の運動を行います。1週間に合計150分以上の運動をするようにしましょう。

 運動をすると食事から摂取した糖を消費する働きが活発になるため、糖尿病の予防に効果的です。運動後は12~17時間ほど糖の消費が活発になるため、継続的な運動が必要になります。

 有酸素運動と合わせて、レジスタンス運動も行いましょう。レジスタンス運動とは、腹筋やスクワットなど、いわゆる筋トレといわれている運動のことです。8~10種目のレジスタンス運動を1種目につき1~3セット(1セット:10~15回)行うことが推奨されています。

 ただし、無理して体を動かすと膝や腰を痛める原因にもなるため、最初のうちは種目を少なめにするとよいでしょう。レジスタンス運動は 週に2~3回ほど行えばOKです。

 有酸素運動もレジスタンス運動も、自分の体力や体調に合わせて行うようにしてください。無理をすると体を痛めてしまう恐れがあります。


| 糖尿病の予防方法 ③睡眠について

 睡眠不足は、糖尿病のリスクを上昇させてしまいます。イギリスのバーミンガム大学で行われた研究では、睡眠時間と2型糖尿病の間にU字の関係があることが明らかになりました。一日の睡眠時間が5~6時間と短い方、9時間以上と長い方では2型糖尿病と診断される確率が上昇したのです。睡眠時間が短い方では一日7~8時間睡眠の方と比べて2倍、長い方では60%高くなりました。

 とくに睡眠時間が短いと糖尿病の発症リスクが上昇します。睡眠不足だと感じている方は、 7~8時間は寝るように心がけましょう。


| まとめ

 糖尿病を予防するためには、 食事と運動、睡眠の3つを改善することが大切です。食事をする際は野菜から食べ、腹八分目で止めるようにしましょう。間食を避けたり飲酒を控えたりするのも有効です。

 運動は、有酸素運動をできるだけ毎日行い、合わせてレジスタンス運動を週に2~3回行うのが理想です。ただし、体調を考慮し、無理に行うのは避けてください。

 睡眠は短すぎても長すぎてもよくありませんが、とくに短い方で糖尿病のリスクが上がります。糖尿病の予防のために、睡眠時間もしっかり確保しましょう。


出典:Christina Antza, Georgios Kostopoulos, Samiul Mostafa, Krishnarajah Nirantharakumar,and Abd Tahrani 
   ”The links between sleep duration, obesity and type 2 diabetes mellitus
   National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information
   厚生労働省 ”糖尿病
   厚生労働省 ”糖尿病“ e-ヘルスネット
   厚生労働省 ”糖尿病を改善するための運動“ e-ヘルスネット

文/岡本 妃香里
 

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