エクソソームとは?どのようなものであるかご紹介します!

再生医療

| エクソソームとは

 エクソソームとは、細胞から分泌されている顆粒状の物質のことです。大きさはわずか50~150nm(10億分の1メートル)しかありません。細胞同士がメッセージのやりとりを行うのに必要だということが近年の研究でわかりました。独立して存在しているかのように見える細胞がメッセージのやり取りを行っていることは、驚きの事実です。

隣接し合った細胞だけでなく、遠く離れた細胞にもエクソソームは働きかけることができます。表面にあるタンパク質を利用して、標的とする細胞を探し出すことができるのです。

細胞が細胞外に存在する物質を取り込むときにできるエンドソームと呼ばれる物質がくぼみ、そこで作られた膜小胞が細胞外に排出されることでエクソソームは作られます。テトラスパニン類やインテグリン類などの膜タンパク質、主要組織適合遺伝子複合体分子、熱ショックタンパク質など多くのタンパク質が含まれていることが特徴です。

このほか、マイクロRNAという遺伝物質も含まれています。マイクロRNAは、遺伝子の働きを調整する物質です。近頃では、がん治療や薄毛治療などでエクソソームが効果を発揮するのではと注目を集めています。

| エクソソームの効果

細胞同士がコミュニケーションを取るのに必要となるエクソソームは、私たちの健康と大きな関わりがある物質です。卵子と精子が出会って受精するためには、エクソソームが必要になります。卵子の表面からエクソソームが分泌されているのです。表面にエクソソームをもつ卵子は受精できますが、もたない卵子は精子が中へ入れないため受精できないことがわかっています。

また、肌の老化とエクソソームに深い関係があることも明らかです。紫外線を浴びると、表皮を構成するケラチノサイトという細胞からエクソソームが分泌され、最終的にメラニン色素の分泌が促されます。メラニン色素は肌を紫外線から守るために必要なものです。

しかし、シミやそばかすの原因にもなることから、メラニン色素は美肌を保つうえでは大敵となります。そこで、エクソソームに着目した化粧品の開発が行われています。

エクソソームは、美容医療や再生医療でも注目を集めている成分です。エクソソームには、コラーゲンの産生を促す働きがあることがわかっています。コラーゲンを生成している線維芽細胞に指令を送り、分泌を促進させるのです。そのため、エクソソームを線維芽細胞に送り込むことで、コラーゲンの生成量を増やせる可能性があります。

また、老化とエクソソームに関係があることも明らかです。近頃では、ヒト由来の幹細胞培養上清液にも大きく関わっていることがわかってきました。肌を若々しくしたり細胞分裂の活性化をしたりする幹細胞培養上清液には、エクソソームが含まれていたのです。

このほか、薄毛治療にもエクソソームを使用するクリニックも出てきました。薄毛治療といえばヘアサイクルを整えるミノキシジルや、ジヒドロテストステロン(DHT)の働きを抑えるフィナステリドやデュタステリドを使うのが主流です。エクソソームはこれらの治療薬とは違ったアプローチにより、発毛効果が出るまでの時間を短くしたり、髪質を改善したりする効果が期待されています。

| エクソソームの副作用

治療にエクソソームを使う場合、大きな副作用は出ないといわれています。比較的、安全性の高い治療法なのです。ただし、次の方にはエクソソームを使用した治療ができない可能性があります。

  • 妊娠中の方や妊娠の可能性がある方、授乳中の方
  • がんを患っている方
  • 薬でアレルギーを起こしたことがある方

エクソソームは胎児や乳児への安全性が確立されていません。そのため、妊娠中の方や妊娠の可能性がある方、授乳中の方への使用は推奨されていないのが現状です。

また、がん細胞に対して増殖させるように働きかけることから、がんの治療を行っている方にも使用できません。薬でアレルギーを起こしたことがある方は、安全面を考慮してエクソソームの使用ができない場合があります。

しいて副作用を挙げるとすれば、赤みや腫れなどが起こる可能性があるでしょう。エクソソームをどのように投与するかにもよりますが、注射を使用する場合は注射部位にこのような副作用が起こることがあります。また、体質的にエクソソームが合わない方は、アレルギー反応を起こすこともあるでしょう。

| エクソソームと病気のかかわり

エクソソームは、細胞から常に分泌されています。病気になると分泌量が増えるため、エクソソームと病気には一定の関係性があるといえるでしょう。

代表的なのが、がんです。がん細胞はもともとさまざまな物質を産生していることがわかっています。そのうちの一つとして、エクソソームも分泌されているのです。がんといえば、他の場所に転移することが問題となることが少なくありません。この転移にもエクソソームが関わっています。

アメリカのテキサス大学の研究では、がん細胞は正常な細胞よりも多くのエクソソームを産生していることが明らかになりました。産生されたエクソソームは、他の細胞に働きかけ改変させる力があります。そのため、がんの転移にエクソソームが関わっていると考えられているのです。エクソソームとがんに深い関係があることがわかっているため、エクソソームの放出を阻害することでがんを治療するエクソソーム阻害剤の研究が進められています。

| エクソソームのメリット・デメリット

エクソソームを使った治療のメリットとしては、副作用のリスクが少ないこと、他の薬が効かなかった方でも効果が見込めることが挙げられます。エクソソームは細胞由来の成分であるため、投与しても拒否反応が起こりづらいと考えられているのです。従来の治療で効果がなかった場合でも、エクソソームなら変化が表れる可能性があります。

一方で、費用が高額になりやすいこと、注射する場合はどうしても痛みが伴うことがデメリットです。エクソソームを使った治療は自由診療のため、保険適用となりません。そのため、治療費はすべて自費です。クリニックによって料金は異なりますが、エクソソームを使った点滴療法1回で10万円を超えるところもあります。注射をする場合は、痛みや腫れを伴うこともあるでしょう。

| まとめ

エクソソームとは、細胞同士の情報伝達を行うために分泌される顆粒状の物質です。細胞間でメッセージのやりとりを行うだけでなく、卵子と精子の受精やがんの転移に関わっていることもわかっています。コラーゲンの分泌量を増やす働きがあることから、エクソソームは美容医療でも注目を集めている成分です。

また、ヒト由来の幹細胞培養上清液にエクソソームが含まれていることもわかっていることから、再生医療でも活躍が期待されています。

エクソソームの副作用については現状ほとんどないといわれていますが、妊娠中の方やがんの治療中の方、薬に対してアレルギーがある方は安全のため使用しないように注意が必要です。

エクソソームはがん細胞で多く産生されているため、エクソソームを阻害することでがんの治療ができるのではと期待されています。まだまだ研究段階のエクソソームですが、今後さらに働きが明らかになっていくでしょう。

文/岡本妃香里

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