認知症の代表的なテストとは? | 評価方法や種類についても解説します!

再生医療

「家族が認知症かどうか簡単に調べる方法はある?」「物忘れが気になるので、テストを行って調べたい」

物忘れが増えると、認知症かもしれないと気になる方が多いかと思います。認知症かどうかを確定するための診断は医療機関でしか行なえません。

しかし、自宅でも「認知症の可能性」を調べることは可能です。今回は認知症かどうかを調べる簡単なテストの方法について紹介します。自宅でもできるので、気になる方はぜひ行ってみてください。

| 認知症とは

認知症とは、認知機能が低下することで日常生活に支障が出ている状態のことです。認知症=アルツハイマー病と思われている方もいますが、アルツハイマー病は認知症の一種にすぎません。実は、認知症にはさまざまな種類があるのです。

認知症の代表的な原因としてアルツハイマー型認知症(=アルツハイマー病)が知られています。アミロイドβというタンパク質が蓄積したり神経原線維変化が起こったりすることで発症する認知症です。認知症のうち約70%をアルツハイマー型認知症が占めています。

このほか、レビー小体型認知症や前頭側頭型認知症、脳血管性認知症などが代表的です。認知症の症状には、物忘れなどに代表される中核症状と、精神症状などが起こる行動・心理症状(BPSD)があります。

〈中核症状〉

  • 数分前の記憶がない
  • 同じことを何度も聞いてくる
  • 物をよく無くす
  • 家にあるのに何個も同じ物を買ってくる
  • 日付や曜日がわからなくなる
  • 道に迷うことが増える
  • 簡単な動作ができなくなる
  • 季節に合わせた服装を選べなくなる
  • 失禁が増える
  • 話を理解するのが苦手になる

〈行動・心理症状(BPSD)〉

  • 不安になることが増える
  • うつ状態になる
  • 怒りっぽくなる
  • 物を盗られたと言うようになる
  • 目的をもって外出しても帰ってこられなくなる
  • 幻視が見えるようになる

| 認知症テストの種類

認知症のテストには、次のようなものがあります。基準を満たさない成績になると、認知症の疑いがあると判断されるテストです。認知症の早期発見はもちろん、どれくらい症状が進行しているのかを調べるのにも役立ちます。

・ミニメンタルステート検査(MMSE検査)

認知機能を客観的に評価する方法です。認知症を調べるテストのなかでは、もっとも一般的に使用されています。30点満点のテストで、22~26点なら軽度認知症の疑いあり、21点以下なら認知症の疑いが強いと判断されます。

・長谷川式認知症スケール

認知症かどうかを調べる簡易的なテストです。口頭で9つの質問をし、回答してもらいます。回答によって点数をつけ、30点満点中20点以下だと認知症の疑いがあると判断されます。

・三宅式記銘力検査

簡易的に行える認知症のテストです。関連性のある単語を10個対にしたものと、関連性のない単語を10個対にしたものを用意します。対になった片方の単語を読み、もう片方の単語を想起してもらうことで点数化するものです。

・ベントン(Benton)視覚記銘検査

脳を負傷した方を対象に行われることの多いテストです。幾何学モデルを見せ、隠した後に同じモデルを描いてもらいます。視覚認知や視覚記憶などを調べるのに適していることが特徴です。

・日本版ウェクスラー記憶検査(WMS-Ⅲ)

13の検査項目を使い、言語性記憶や視覚性記憶などを評価します。85~115点取れたら正常です。言語と図形を使ったテストで、多くの場面で利用されています。

| 認知症テストの評価方法

認知症のテストで一定の点数を満たさなかった場合は、認知症の疑いがあると判断されます。しかし、テストはあくまでも疑いがあるかを調べるもので、認知症を確定するものではありません。

テストの種類によっては、ごくわずかな言語障害があるだけでも認知症疑いと判断されてしまうことがあります。国際的にも広く使われているミニメンタルステート検査も、視空間認知障害が主な症状のときは感度が低くなってしまうことが特徴です。

そのため、テストの結果のみを鵜呑みにするのではなく、患者さんの背景や状況をしっかり見たうえでテストの結果を評価する必要があります。

| 自宅でできる認知症検査

認知症のテストのうち長谷川式認知症スケールは、自宅でも簡単に行えるテストです。口頭でのやり取りのみで認知症の疑いがあるかを判断できます。

次のような質問をしていき、回答によって点数をつけていきましょう。合計30点満点で、20点以下の場合は認知症の疑いがあります。

| 認知症の予防方法

認知症の予防を行ううえで大切なのが、「運動」「食事」「趣味」の3つです。認知症の発症と運動習慣の低下には関連性があることがわかっています。

フランスのモンペリエ大学などで行われた研究では、運動を定期的に行うことでアルツハイマー型認知症の発症リスクが45%減少することが明らかになっています。

アメリカのコロンビア大学で行われた研究では、脂質異常症、肥満、高血圧がアルツハイマー型認知症の発症リスクを上げることもわかっているため、食事に気をつけることも大切です。

肉ではなく魚を選び、適切なカロリー摂取を意識しましょう。野菜やフルーツを積極的に食べることも効果的です。

また、高血圧を予防するために塩分の摂取は1日あたり成人男性7.5g未満、成人女性で6.5g未満になるように控えてください。趣味をもち、周りの方と交流をもつことも認知症の予防に効果があります。定期的に交流会などに参加し、一人でいる時間をできるだけ減らしましょう。

| まとめ

認知症の疑いを調べるテストとしては、ミニメンタルステート検査が世界的にも広く利用されています。医療機関でも採用されていることが多く、さまざまな場面で目にすることでしょう。

自宅で簡単にテストを行いたい場合は、長谷川式認知症スケールが便利です。全部で9つの質問を行い、回答を点数化することで認知症の疑いがわかります。

もし自宅でテストを行って認知症の疑いがあることがわかった場合は、早めに医療機関を受診してください。認知症は早期発見・早期治療を行うことで症状を食い止めることができます。

参考:高血圧 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

文/岡本妃香里

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