変形性膝関節症の予防と運動の目安

専門医コラム

変形性関節症と診断されたけれど、運動しても良いのか?スポーツでケガをして、運動を開始してよいタイミングが分からず悩むこともあるのではないでしょうか。ここでは、実際に整骨院でも指標にしているチェックツールを用いて、変形性関節症の予防と運動の目安をご紹介いたします。

目 次
1. 変形性関節症とは
2. 運動の目安【WBIチェック】
3. 変形性関節症の予防方法

| 変形性膝関節症とは

膝の関節を構成する骨や軟骨が変形する事を変形性膝関節症といいます。
進行すると軟骨が擦り減り周囲を傷付けて炎症や水が溜まる現象が起きたり骨同士がぶつかり痛みを引き起こし日常生活にも支障がおきます。
そこで大事になるのが足の筋肉を鍛えて膝への負担を減らす事です。今回は運動目安のチェック方法と予防法のご紹介になります。

| 運動の目安【WBIチェック】

WBI(大腿四頭筋筋力/体重)という身体の大きさに応じた筋力評価の指標です。体重に対する膝を伸ばす筋力(太ももの前側)を評価します。
日常生活における立ち上がり、歩行、階段昇降、ウォーキング、ランニングが実施できるかをチェックしていきます。イス、台の高さが低くなるほど膝を伸ばす力(太もも前の筋肉)が必要になるので運動や日常生活をステップアップしていく際や現状のご自分の筋力チェックの際にご活用ください。

台の高さ(cm)片足立ちでのWBI値(運動目安)両足立ちでのWBI値(運動目安)
400.6(ジョギングが実施可能)0.3(短距離歩行が実施可能)
300.7(ランニングが実施可能)0.35(短時間歩行が実施可能)
200.9(ジャンプが実施可能)0.45(ウォーキングが実施可能)
101.0(競技スポーツが実施可能)0.5(階段昇りが実施可能)

※台の高さに応じて背筋を立てて膝の角度を90度に曲げて両足立ち⇒片足立ちの順番でイスもしくは台から立ち上がります。この際に痛みがなくスムーズに立ち上がる事が出来れば運動目安に応じた行動が可能という指標になります。
※イスや台はクッション性のあるソファーなどではなくデスクチェアやステップ台、踏み台のような物が好ましいです。

| 変形性関節症の予防法

ヒールスライド

床に座り膝を伸ばした状態から踵(かかと)をお尻に近づける様に膝を曲げます。
※踵(かかと)が地面から離れないように意識してください。


パテラセッティング

●床に座り膝の裏にタオルを丸めて設置します。
●膝を伸ばした状態からタオルを押しつぶすように膝に力を入れます。
●その状態を3秒ほど保持してください。


イス立ちスクワット

●イスから立ち上がるスクワットです。足は肩幅程に開き膝が90度程度曲がる姿勢から立ち上がります。
●回数は20回を目安に実施してください。


いかがでしたか。変形性膝関節症の予防や治療において、適度な運動は欠かせませんが、過度な負荷はかえって症状を悪化させてしまう恐れがあります。チェックツールを使ってご自身の身体の回復度を確認することは、事故・ケガの防止に大きく役立つことでしょう。
また、施術者(先生)と患者さまとの共通の評価基準があることで、目標と課題が明確になります。
互いの共通言語が生まれるため、WBIはコミュニケーションツールの一つとしても活躍します。
変形性関節症で膝の痛みが強く、運動することが難しい場合には、無理せず医師に相談し、薬なども併用して治療に向き合っていきましょう。


記事監修

中村 純基(ナカムラジュンキ)
ENTIRE BODY整骨院所属

略歴
2016年 株式会社爽健グローバル入社
2019年 横浜FCに出向
2022年 鈴鹿ポイントゲッターズ出向
2023年 ENTIRE BODY整骨院所属
現在に至ります。

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