再生医療にかかる費用とは?主な治療方法の相場を紹介します!

再生医療

 近年、治療法がなかった病気の治癒に、再生医療が応用され始めました。その効果はめざましく、再生医療を標榜する医療機関も増加傾向にあります。

 実際に、整形外科領域では、膝疾患などの改善のために再生医療を採用する医療機関も増えているのです。また、美容領域では、永続的な効果が見込めるアンチエイジングケア法が注目されるようになりました。手術やヒアルロン酸を利用したくない人でも治療ができる点で人気が出ているのです。

 一方で、再生医療の費用や治療内容などは一般的に認知されていない状況にあります。

 そこで今回は、再生医療の費用相場や治療内容などについて解説します。

 本記事は以下の人におすすめです。

  • 再生治療の費用相場が知りたい
  • 再生治療の治療方法について知識を深めたい
  • 再生医療のメリット・デメリットを知りたい

 今後、再生医療で治療を検討している方、再生医療について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。

 


| 再生医療とは

 再生医療とは、事故や病気で失った身体の機能を修復させたり、回復させたりする医療のことです。再生医療は、人の生命及び健康に与える影響の度合いに応じて、3つの種類に分けられます。

 1つ目は 「第1種再生医療等」です。

 第1種再生医療は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)やES細胞(胚性幹細胞)といった幹細胞を応用する医療になります。人間が受けた事例が少なく、リスクが高いため、主に臨床研究として大学病院や国立の医療機関などで実施されているのです。

 2つ目は 「第2種再生医療等」です。

 第2種再生医療は、幹細胞を応用して治療や研究を行う医療になります。体性幹細胞や神経幹細胞、造血幹細胞などの、決まった細胞にしか変化しない幹細胞を使用する方法です。人間が受けた事例があり、第1種再生医療よりはリスクが少ないとされています。

 3つ目は 「第3種再生医療等」です。

 第3種再生医療は、人間がもともと持っている細胞の機能を利用する医療になります。大掛かりな施術などが必要ないため、低リスクで治療が行えるのです。


| 再生医療の費用相場は?

 再生医療の費用相場は治療ごとでさまざまです。今回は、種類ごとに治療法を交えて解説します。

 再生医療は、保険診療や自由診療、治験の3つに分類可能です。

 保険診療では、造血幹細胞移植と脊髄再生治療があります。造血幹細胞移植は、正常な血液が作れない患者に対し造血幹細胞を移植することで、正常な血液に戻すための治療法です。費用相場は 15万円程度になります。

 脊髄再生治療は、2018年12月から7年間の条件付きで保険適応になった治療法です。脊髄を損傷した患者の幹細胞を増殖・培養させ、患部に注入することで脊髄を再生させる治療法になります。費用相場は 300万〜450万円程度です。

 自由診療では、変形性膝関節症や更年期障害の治療があります。その他にも、美容外科領域ではバストアップやエイジングケアなどがあるのです。治療法としては、間葉系幹細胞を体内に戻し、培養・増殖して治療を行う方法が一般的でしょう。

 費用相場は医療機関によってまちまちですが、幹細胞投与だけで100万円以上かかります。また顔のシワやクマなどの改善が期待できるPRP(多血小板血漿療法)では、20万〜30万円程度かかる場合もあるでしょう。全体の費用相場としては、 数十万〜数百万、治療によっては 1000万円を超える治療もあります。

 治験では、2018年11月にパーキンソン病患者の脳にiPS細胞から育てた神経細胞を移植する治療が行われました。治験費用は患者負担ゼロです。しかし、服用している薬や検査費用などは通常の保険対象であり、一部負担する必要があります。


| 再生医療のメリット・デメリット

 再生医療にはメリット・デメリットがあります。再生医療で治療を検討している方は、両方を把握した上で決断しましょう。

 メリットは2つです。

 1つ目は、 副作用が少ないという点です。再生医療では、自身の細胞を増殖・培養したものを注入します。そのため、拒絶反応が起こりにくく、治療効果が得られやすいのです。

 そもそも、自身の組織ではないものが体内に入った場合、どうなるでしょうか。身体が拒絶反応を起こし、アレルギー反応が起こり得ます。その点、再生医療は自身の組織から抽出したものを応用するため、安心なのです。

 2つ目は 入院する必要がない点です。再生医療の場合、外来診療として検査や診察を行うため、入院が不要です。外来で採血や注射が終わるため、大掛かりな手術などもない点がメリットになります。

 一方で、変形性膝関節症などの治療には通常、手術が伴います。手術前に入院をして、手術後、経過観察のために2週間〜3週間は入院生活を余儀なくされるのです。その点、再生医療を活用することで短時間で治療が終わるため、治療に時間がとれない方でも利用しやすいでしょう。

 デメリットは2つです。

 1つ目は、治療効果に 個人差がある点です。肥満の人や重度の変形性膝関節症の方などには効果が薄いと言われています。また効果が出るのにも個人差があるため、人によっては効果が出るまで数日待つケースがあるでしょう。

 2つ目は 費用が高い点です。特に自由診療では全額負担することになるため、出費がかさみます。治療内容によっては、数百万〜1000万円以上する治療もあるのです。予算が取れる人でなければ治療が受けられない場合もあるでしょう。


| 高額な再生医療費を補填できる制度

 再生医療費は、治療によって高額になるケースがあります。「どうしても治療を受けたい…でも予算がない…」そんな時に活用できるのが、 高額療養費制度です。

 高額療養費制度とは、医療機関を受診した月に負担した医療費が、自己負担限度額を上回った場合に適用される制度です。適用されることで、超過分の金額が払い戻しされるため、自己負担が減ることになります。

 自己負担限度額は年齢や年数などで条件が異なります。利用を検討する方は事前に確認しておきましょう。

 ただし、自由診療や先進医療、入院中の食事代や居住費などは対象外となります。注意しておきましょう。


| まとめ

 今回は、再生医療の費用相場や治療内容について解説しました。再生医療とは、事故や病気で失った身体の機能を修復させたり、回復させたりする医療のことです。

 抽出した細胞を培養したり、増殖させたりすることで効果が発揮されます。また自身の組織細胞を応用するため、副作用が少なく、比較的短時間で治療が終わることがメリットとして挙げられます。

 一方でデメリットは治療費用が比較的高く、効果が出るのに個人差がある点です。再生医療を受ける際はメリット・デメリットを把握した上で決断してください。

 費用相場は、治療内容によってまちまちです。治療によっては、数十万〜1000万円以上するものまであります。どうしても費用が捻出できない人は、高額療養費制度を活用しましょう。

 年齢や年収などで条件は変わりますが、上手く活用することで自己負担額が減らせます。

 再生医療は今後ますます発展を遂げる可能性のある領域です。興味のある方は勉強し、知識習得しておくといいでしょう。

 

文/医療ライターゆし

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