関節リウマチにはどんな治療方法があるのかご紹介します!

再生医療

関節リウマチの患者数は、人口の約0.6~1.0%ほど、患者数にして約60~100万人ほどだといわれています。決して珍しい病気ではありませんが、どのような病気なのか、どうやって治療を行っていくかについてご存知の方はあまりいないかと思います。

ちなみに、関節リウマチの原因については、実はまだよくわかっていません。治療するのも予防するのも難しいため、患者さんの負担が大きいことで知られています。

今回は、関節リウマチとはどのような病気なのか、治療方法にはどういったものがあるのかについて詳しく見ていきましょう。

| 関節リウマチとは

関節リウマチとは、関節内にある滑膜という組織が異常に増殖することで起こる病気です。男性よりも女性でよく見られます。30~50代で発症することが多いですが、ほかの年齢で見られることも少なくありません。

滑膜は関節をスムーズに動かすために必要なもので、軟骨を助ける潤滑油の働きをしています。なぜ滑膜が異常増殖するのかについては、いまだに原因不明です。遺伝的なものや、細菌やウイルスなどが関与しているのではないかと考えられています。

詳しい原因は不明ですが、関節リウマチは自己免疫疾患の一つとして捉えられることがほとんどです。本来は細菌やウイルスのみに反応するはずの免疫が、自分の体にある滑膜を攻撃することで周辺にある軟骨や骨を破壊していきます。

軟骨や骨が破壊されることで炎症が起こり、関節が腫れたり痛みが出たりすることが特徴です。炎症を引き起こす原因としては、IL-6やTNF-αなどのサイトカインが知られています。

関節リウマチといえば、朝に手足がこわばったり、関節に痛みや腫れが起きたりするなどの症状を想像される方が多いでしょう。たしかにこれらの症状はよく起こるものです。しかし関節の症状以外に、微熱や倦怠感、食欲不振などが起こることもあります。関節で起きている炎症が肺や血管に広がることもあるため、実は関節の症状だけに悩まされる病気ではないのです。

| 関節リウマチの治療方法

関節リウマチの治療で大切なのは、病気の進行を抑えながら痛みをできるだけ取り除くことです。関節が腫れたり破壊されたりするため、関節リウマチでは痛みを伴うことが多くあります。じっとしていても痛みが出ることもあるため、日常生活に支障が出てしまう方も多いものです。治療方法には、大きくわけて次の4つがあります。

  • 基礎療法
  • 薬物療法
  • リハビリテーション療法
  • 手術

それぞれでどのような治療が行なわれるのか、詳しく見ていきましょう。

| 基礎療法

基礎療法とは、普段の生活のなかで行うセルフケアのことです。関節リウマチは薬を使ったりリハビリテーションを行ったりすることも大切ですが、日常生活で関節に負担をかけないような工夫をしていくことも重要だとされています。

まずは、適正な体重を保つようにしましょう。体重が増えると関節への負担が増すため、痛みが強く出やすくなります。適度に体を動かすことも大切です。

関節リウマチになると、ついつい体を動かさないようにしがちですが、運動には関節が凝り固まるのを防ぐ効果があるため、痛みの緩和につながります。運動が難しい方は、ストレッチでも問題ありません。ただし、痛みが強いときは無理に体を動かさないようにしましょう。体を温めて痛みを緩和するのもおすすめです。

| 薬物療法

関節リウマチの治療薬は、いくつかの種類にわけられます。

・非ステロイド性抗炎症薬

NSAIDsとも呼ばれるもので、関節リウマチによる痛みや炎症をやわらげる薬です。痛みを引き起こす原因となるプロスタグランジンの産生を抑えることで、効果を発揮します。関節リウマチの進行や関節の破壊を抑えることはできません。

しかし、服用することで速やかに痛みを取り除いてくれるため、よく使用されています。ただし、長期連用すると、胃や腎臓に負担がかかることもあるため要注意です。最近では、胃に負担がかかりにくいタイプの痛み止めも新しく使われるようになりました。とはいえ、長期連用は負担となることがあるので、定期的に胃や腎臓の検査を行うことが望ましいとされています。

・副腎皮質ステロイド

こちらも関節リウマチによる痛みや炎症をやわらげる薬です。非ステロイド性抗炎症薬よりも炎症を抑える効果が優れています。副腎皮質ステロイドが開発された当初は、まるで魔法の薬のような扱いをされていました。痛みや腫れで動けないほどの患者さんが、副腎皮質ステロイドの使用により起き上がれるようになったためです。

ところが、当時は副作用を抑える方法が今のようになく、一時的にあまり使われなくなりました。現在は副腎皮質ステロイドによる胃潰瘍や骨粗鬆症などの副作用をある程度コントロールできるようになったため、活動性の高い関節リウマチの患者さんで利用されています。

・抗リウマチ薬

抗リウマチ薬とは、関節リウマチの治療を進める中心ともなる存在です。関節リウマチの発症には免疫異常が関係しているといわれています。抗リウマチ薬は、この免疫異常を回復する薬です。

抗リウマチ薬にはいくつか種類がありますが、なかでもメトトレキサートがよく使用されています。メトトレキサートは有効性が高く、骨の破壊を抑えることができ、さらに継続しやすいことから関節リウマチの第一選択薬となっている薬です。ただし、メトトレキサートは服用を始めてすぐに効き始めるものではありません。早い方で2週間ほどは効果が出るまでに時間がかかります。

・生物学的製剤

炎症を起こす原因であるIL-6やTNF-αなどのサイトカインを標的とした薬です。炎症を抑える働きに優れており、軟骨や骨の破壊を抑えることができます。

抗リウマチ薬を使用しても効果が不十分だった場合に使われることが一般的です。注射または点滴によって投与されます。抗炎症効果に優れているものの、費用が高額になることから患者さんの負担が大きくなりやすいことがデメリットです。

| リハビリテーション療法

リハビリテーション療法は、運動療法や理学療法などを行うことで体の機能を回復していく治療です。指を握ったり開いたり手首を曲げたりなどを行っていきます。パラフィンや電磁波、超音波などを使うこともあるでしょう。

リハビリテーション療法を行う場合、炎症が強く起きており痛みが強い部位は動かさないようにします。体を動かさないようにしていると筋力が低下してくるため、筋力トレーニングを行うのも効果的です。さまざまなリハビリテーション療法がありますが、基本は無理して行わないようにします。

| 手術

炎症が激しく起きている滑膜を取り除く滑膜切除術や、人工関節を入れる人工関節置換術などが行われます。滑膜切除術に関しては、早期治療ができるようになった影響で近頃ではあまり行われていません。このほか、首の骨が変形するのを防ぐ関節固定術が行なわれることもあります。首の骨が変形すると突然死することもあるため、手術によって変形を防ぐのです。

| まとめ

関節リウマチとは、関節内にある滑膜が異常増殖することで起こる病気です。進行すると、滑膜組織から炎症性サイトカインが産生されるため、骨や軟骨が破壊され手足の変形や痛みを生じます。

異常が滑膜にとどまっている状態で治療を開始できれば症状の悪化を防げるため、早期発見・早期治療が大切です。朝に手足がこわばったり、関節に痛みや腫れがあったりするようでしたら、早めに医療機関を受診しましょう。

文/岡本妃香里

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