膝関節症はどのように治療するの?治療方法について解説します!

再生医療

 膝関節症の治療方法は保存療法と手術療法の2種類です。

 保存療法として主に用いられるのは、運動療法や薬物療法、そして装具療法があります。保存療法で経過を観察しつつ、症状の改善が見られない場合には手術療法を検討するのが一般的な流れです。

 ここでは、膝関節症の治療方法についてご紹介します。





| 膝関節症の治療方法「保存療法」

 膝関節症の治療はおおむね「保存療法」からのスタートです。症状の度合いにもよりますが、保存療法を継続することで、日常生活に支障をきたさないレベルへと改善されるケースも見受けられます。

 保存療法は次の4つの中から複数を選んで組み合わせる形です。

  • 生活指導
  • 運動療法
  • 薬物療法
  • 装具療法


| 膝関節症の治療方法「保存療法」①生活指導

 膝関節症の発症後は、次のループに陥ることがほとんどです。

 膝が痛む
 ⇒身体を動かすことが億劫になる
 ⇒足の筋肉の減少
 ⇒体重の増加(肥満)
 ⇒膝への荷重も増えるため、より一層、膝が痛むようになる

 まずは上記の負のループから抜け出すことを目的とした生活指導が行われます。

 生活指導は主に食事の見直しと運動の習慣化です。

 食事は6大栄養素をバランス良く、なおかつ美味しく食べられるように工夫していくことが求められます。

栄養素主な食材
炭水化物・お米(玄米含む ・パン ・麺類(うどん、そば、パスタ、ラーメンなど)
脂質・牛肉(バラ肉、サーロインなど)・魚介類(イワシ、マグロ、サバなど) ・大豆製品(凍り豆腐、油揚げなど) ・ナッツ類(松の実、くるみ、ピスタチオなど)
たんぱく質・肉類(牛、豚、鶏、羊、鯨など)・魚介類(青魚、白身魚、甲殻類、貝類など) ・大豆製品(豆腐、納豆、油揚げなど) ・乳製品(チーズ、ヨーグルトなど) ・ナッツ類(アーモンド、カシューナッツなど)
ビタミン・緑黄色野菜(ブロッコリー、モロヘイヤなど) ・果物(柑橘類、いちご、アボカドなど) ・海藻類(海苔、わかめ、ひじきなど)
ミネラル・カルシウム(乳製品、魚介類) ・マグネシウム(納豆、ひじき、きくらげなど) ・カリウム(野菜、果物、海藻など) ・鉄分(レバー、赤身肉、ひじき、切干大根など) ・亜鉛(牡蠣、レバー、チーズ、凍り豆腐など)
食物繊維・水溶性食物繊維(大麦、納豆、干し椎茸など) ・不溶性食物繊維(とうもろこし、小豆など)

| 膝関節症の治療方法「保存療法」②運動療法

 前述の生活指導にも含まれる 運動の習慣化=運動療法です。20分から30分ほどのウォーキングなどで膝周りの筋肉を少しずつ鍛えていきます。

SLR運動

 膝関節症の運動療法のひとつに SLR運動があげられます。足を上げ下げするだけの動きではありますが、繰り返すことで着実に膝周りの筋肉(大腿四頭筋)が増強するのは確かです。

 仰向けに寝転がります
 ⇒左膝を立てた状態で右足を伸ばして10cm~15cmほど浮かせます
 ※右足のつま先は天井に向けるのがコツです
 ⇒右足を浮かせたまま5秒間キープ
 ⇒静かに右足を下ろします
 ※この動きを10回1セット
 ⇒次は右膝を立てた状態で左足を伸ばして10cm~15cmほど浮かせます
 ※左足のつま先は天井に向けるのがコツです
 ⇒左足を浮かせたまま5秒間キープ
 ⇒静かに左足を下ろします
 ※この動きを10回1セット

 慣れてきたらキープ時間を5秒間から10秒間に増やしていくと良いでしょう。

椅子を使ったトレーニング

 椅子に座った状態でも膝周りの筋肉を鍛えることが可能です。

 椅子に腰掛けます
 ⇒左足を地面につけた状態で右足を軽く持ち上げます
 ※右足のつま先は天井に向けるのがコツです
 ⇒右足を浮かせたまま5秒間キープ
 ⇒静かに右足を下ろします
 ※この動きを10回1セット
 ⇒右足を地面につけた状態で左足を軽く持ち上げます
 ※左足のつま先は天井に向けるのがコツです
 ⇒左足を浮かせたまま5秒間キープ
 ⇒静かに右足を下ろします
 ※この動きを10回1セット

 慣れてきたら持ち上げた足を水平に保つとより効果的です。


| 膝関節症の治療方法「保存療法」③薬物療法

 薬物療法は膝の痛みを少しでも緩和させることを目的として行われます。

 外用薬や内服薬の処方とともに、 ヒアルロン酸注射が採用されることが多いようです。ただしヒアルロン酸は時間の経過とともに体内に吸収されてしまうため、長期的な持続は期待できません。

サプリメントや健康食品

 膝の痛みの緩和を謳ったサプリメントや健康食品が販売されています。関節軟骨を構成するグルコサミンやコンドロイチンが主な成分のようです。

 サプリメントや健康食品の中には、 「副作用がない」 ことを前面に出しているものも見受けられます。

 サプリメントや健康食品は医薬品のような厚生労働省による認可制度は存在しません。そのため、正確には「副作用(の報告義務)がない」が正しい表現です。

 プラセボ効果はともかく、劇的な改善は期待できません。極端に高額なものでなければ、気休め程度に摂取するくらいのスタンスが無難でしょう。


| 膝関節症の治療方法「保存療法」④装具療法

 装具療法とは、歩行時の膝への負担を軽減させるための道具を使うやり方です。インソールを入れた靴を履くことで体重の負荷を分散させるものや、膝へのサポーターの装着や日常的に杖を用いることがあげられます。


| 膝関節症の治療方法「手術療法」

 保存療法によって膝関節症の症状が改善しない場合には、手術療法を検討する必要があるかもしれません。

 主に手術療法として用いられるのは次の3種類です。

  • 関節鏡手術
  • 高位脛骨骨切り術
  • 人工膝関節置換術

膝関節症の治療方法「手術療法」①関節鏡手術

 関節鏡手術は膝に内視鏡を挿入し、膝の内部に生じた痛みの原因(軟骨片や半月板の損傷部分)などを取り除く方法です。入院期間が比較的短い(1日~1週間ほど)ことと、内視鏡挿入のための傷が目立ちにくい点がメリットと言えるでしょう。

膝関節症の治療方法「手術療法」②高位脛骨骨切り術

 高位脛骨骨切り術は、膝関節の下部に位置する脛骨(すねの骨)の一部を切除する手術です。膝関節への偏った体重のかかり方(O脚など)を均等にすることを目的としています。

 手術箇所がきちんと癒合するまでに2ヶ月ほどの時間が必要です。回復のために一定以上の期間はリハビリを行うことが求められます。そのため、ある程度体力のある世代向けの手術療法です。

膝関節症の治療方法「手術療法」③人工膝関節置換術

 人工膝関節置換術は損傷した膝関節を人工関節へと置き換える方法です。

 膝関節部分の軟骨と骨の表面を薄く削ってから、金属製(チタン合金、ステンレス)およびプラスチック製(またはセラミック製)の人工関節をはめ込みます。手術後はリハビリをしっかりと行うことで、3週間ほどで杖をついた状態での歩行が可能です。

 ただし、スポーツなどの激しい運動は避けたほうが良いでしょう。できれば膝に負担のかかりにくい洋式の生活に切り替えることが推奨されます。


| まとめ

 ここまで膝関節症の治療方法として、次の項目を紹介してきました。

・膝関節症の治療方法「保存療法」

①生活指導
②運動療法
③薬物療法
④装具療法

・膝関節症の治療方法「手術療法」

①関節鏡手術
②高位脛骨骨切り術
③人工膝関節置換術

 保存療法から始めた後に、状態に応じて手術療法に移行するのが膝関節症の治療の流れです。担当医師ときちんと相談した上で、自身にとって最適な治療を選択することをおすすめします。


 出典:農林水産省 ”栄養素と食事バランスガイドとの関係 食事バランスガイドと従来の分類法との関連

文/bluefunk

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