睡眠障害とは?種類や症状についても解説します!

健康予防

「夜なかなか寝付けなくて困っている」

「異常な眠気に襲われて日常生活に支障が出ている」

 睡眠障害は、人によって寝られないことが問題になることもあれば、寝すぎてしまうことが問題になるケースもあります。睡眠について何かお悩みがあるのでしたら、睡眠障害の可能性もあるかもしれません。

 今回は睡眠障害の種類や症状、治療方法などについて詳しく見ていきましょう。





| 睡眠障害とは

 睡眠障害とは、睡眠に関する病気をすべてひっくるめていう総称です。「睡眠障害」という病気があるわけではありません。

 たとえば、ベッドに入っても寝付けないなどの症状が出る不眠症は、睡眠障害の一つです。睡眠障害にはいくつか種類がありますが、この不眠症に悩まされている方がもっとも多いといわれています。


| 睡眠障害の種類

 睡眠障害には、大きくわけて次の3つの種類があります。

  • 不眠症
  • 過眠症
  • 睡眠時随伴症

 不眠症は国民病とも呼ばれており、日本人の 約5人に1人は睡眠に対して悩みを抱えているのが現状です。約20人に1人が睡眠薬を使用して生活をしています。

 不眠症と聞くと寝つきの悪さを想像される方が多いかもしれません。寝つきが悪い「入眠障害」のほかに、不眠症には途中で目が覚める「中途覚醒」、予定よりも早く起きてしまう「早朝覚醒」、ぐっすり寝た感じが得られない「熟眠障害」があります。

 過眠症とは、夜に十分な睡眠を取っているにもかかわらず日中に強い眠気に襲われることです。睡眠時無呼吸症候群やナルコレプシーなどが過眠症の原因になります。

 睡眠時無呼吸症候群とは睡眠中に呼吸が何度も止まるもの、ナルコレプシーは日中に強い眠気が出て眠り込んでしまうものです。ナルコレプシーの眠気はとても強烈なことで知られています。本人が気づかないうちにいつの間にか眠り込んでいることもあります。

 睡眠時随伴症とは、夢遊病や夜尿、悪夢など睡眠中に起こる症状のことです。寝ながら歩き回ったり何かを食べだしたりすることもあります。しかし、本人は何も覚えていないことも少なくありません。


 

| 睡眠障害の原因

 睡眠障害の種類によって原因は異なります。

〈不眠症の原因〉

  • ストレス
  • 生活リズムの乱れ
  • 睡眠環境
  • 薬の副作用
  • カフェインやニコチン
  • 心の病気
  • 体の病気

 不眠症の原因は、上記のようにさまざまです。ストレスを溜め込む生活をしていると、交感神経が刺激された状態が長く続くため、体がリラックスできず睡眠に影響が出ます。

 寝る時間が毎日バラバラだったり、血圧や甲状腺の薬を飲んでいたりすることも不眠症の原因です。カフェインやニコチンには覚醒作用があるため、これらを好む方は不眠症になりやすいでしょう。

 不眠症の方でうつ病を患っている方は意外と多いものです。不眠症が長く続く場合は、うつ病でないか診てもらうのもよいでしょう。高血圧や前立腺肥大症、糖尿病などの疾患も眠りを妨げることがあります。

〈過眠症の原因〉

 過眠症の原因の一つである 睡眠時無呼吸症候群は、空気の通り道である気道が塞がることで起こります。睡眠時無呼吸症候群で過眠症になるのは、睡眠中に呼吸が何度も止まる影響で熟睡感が得られにくくなるためです。

 呼吸が止まると、呼吸を再開させるために脳が起きてしまいます。日中の眠気のほか、倦怠感や頭重感、気分の落ち込みなどが見られやすいことも特徴です。

 ナルコレプシーの原因は、ヒポクレチン(オレキシン)を作る神経細胞がうまく働かなくなることだといわれています。ヒポクレチンは覚醒状態を維持するために必要な神経伝達物質の一つです。覚醒状態、つまり起きている状態を保つことが難しくなり、突然の眠気に襲われるようになります。

〈睡眠時随伴症の原因〉

 睡眠時随伴症のうち、夢遊病は睡眠不足や寝る前のカフェイン摂取などが原因です。夜間に排尿のために何度も起きてしまう夜尿は、膀胱に溜めておける尿量の減少や前立腺肥大症などが原因になりやすいといわれています。

 悪夢は、レム睡眠のときに見るといわれていますが、詳しい原因についてはわかっていません。人間はレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しながら睡眠を取っています。レム睡眠とは、比較的眠りが浅い状態のことです。


 

| 睡眠障害の治療方法

 睡眠障害の種類に合わせて、適切な治療を行っていく必要があります。

〈不眠症の治療方法〉

 不眠症の場合は、症状の種類に応じて薬物を使った治療を行うことが多いでしょう。寝つきが悪い「入眠障害」がある方には、作用時間の短い睡眠薬、途中で起きてしまう「中途覚醒」がある方には作用時間が長めの睡眠薬など適切な種類の治療薬を選ぶことが大切です。

 睡眠サイクルを整えるメラトニン受容体刺激薬や、覚醒に関わるオレキシン受容体の働きを阻害するオレキシン受容体拮抗薬なども使われます。

〈過眠症の治療方法〉

 睡眠時無呼吸症候群は、 CPAP療法や体位の工夫などを行うことが一般的です。CPAP療法とは、鼻にマスクをつけ、機械が送る圧力によって空気を強制的に送り込む治療法をいいます。空気の流れができるため、呼吸が止まるのを予防できるのです。

 寝るときの体位を工夫するだけで改善が見られる方もいます。仰向けで寝ると重力の関係で気道が塞がりやすくなるため、横向きで寝るようにしてください。

 ナルコレプシーの場合は、中枢神経を刺激するメチルフェニデートやモダフィニルなどの薬を使ったり、生活習慣を見直したりする方法が一般的です。強い眠気が来る前に自主的に短時間の昼寝をすることで、眠気を予防できることも知られています。

〈睡眠時随伴症の治療方法〉

 睡眠時随伴症では、症状に応じてメラトニン受容体刺激薬や漢方薬、異常行動を抑えるベンゾジアゼピン系の薬が使われることが多いでしょう。ただし、怪我をする可能性がなければとくに治療が行われないこともあります。


| 睡眠障害の対策

 不眠症の場合は、以下のような対策をすることで症状の緩和が期待できます。

  • 就寝時間と起床時間をできるだけ毎日同じにする
  • 朝起きたら太陽の光を浴びる
  • 適度な運動を行う
  • 寝る前に強い光を浴びない
  • ストレスを溜め込まない

 就寝と起床時間を一定にすることは、体内時計を整えるのに有効です。朝から太陽光を浴びることで体内時計のズレをリセットし、適度な運動を行って眠りやすい環境を整えましょう。

 寝る前に強い光を浴びると体内時計が遅れて寝つきが悪くなります。部屋を暗くしておくなど、工夫をしましょう。ストレスは交感神経を高ぶらせてしまうため、溜め込まず発散していくことが大切です。

 過眠症のうち、睡眠時無呼吸症候群が原因の方は寝る体制を変えたり口呼吸ではなく鼻呼吸にしたりすることで症状が治まることがあります。ナルコレプシーは根本的な治療方法はないものの、昼寝をすることで午後の眠気を軽くすることが可能です。

 睡眠時随伴症がある場合は、本人や周りの方が怪我をしないように障害物をどかしておいたり、窓やドアの鍵を締めたりしておくなどの対策が必要となります。


| 睡眠障害と生活習慣病との関連

 一見するとなんの関係もないように見えるかもしれませんが、睡眠と生活習慣病には深い関連性があります。睡眠不足の状態が続くと、食欲を抑えるホルモンであるレプチンの分泌量が減り、肥満になりやすくなるのです。

 寝不足が続いている方では糖尿病や狭心症など生活習慣病にかかりやすいこともわかっています。睡眠障害は生活習慣病のリスクを高めるため、日頃から良い睡眠を取れるよう心がけることが大切です。


| まとめ

 睡眠障害とは、不眠症と過眠症、睡眠時随伴症など睡眠に関係する病気の総称です。とくに不眠症の患者数が多く、日本では多くの方が悩まされています。寝つきが悪い、途中で起きてしまう、予定より早く目が覚めるなどの症状があったら、不眠症でないか検査をしてもらいましょう。

 また、過眠症や睡眠時随伴症なども含め、睡眠障害を根本的に解決するのは時間がかかりますが、正しい治療と対策を行うことで、症状が軽減することもあります。睡眠いは日中のパフォーマンスにも大きく影響しますので、気になる症状がある方は早めに相談しましょう。


出典:厚生労働省 ”不眠症” e-ヘルスケネット
   厚生労働省 ”快眠と生活習慣” e-ヘルスケネット
   厚生労働省 ”睡眠障害” e-ヘルスケネット
   

文/岡本 妃香里
 
 

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。