生活習慣病とは?どのような病気なのか!

健康予防

 かつては贅沢病や成人病とも呼ばれていた生活習慣病。名前の通り、生活習慣が深く関与している病気のことです。「生活習慣病を予防しよう」という呼びかけもよく行われていることから、聞いたことがある方も多いでしょう。

 今回は、生活習慣病とはそもそもどのような病気なのかについて解説します。原因や予防方法、治療方法についても紹介しているので、参考にご覧ください。




| 生活習慣病とは

 生活習慣病とは、生活習慣が関与して起こる病気の総称です。以前は贅沢病や成人病とも呼ばれていました。しかし、生活習慣だけではなく遺伝も関係していること、成人でなくても発症することから、生活習慣病に名前が変更されました。

 厚生労働省が発表している「令和3年(2021)人口動態統計」によると、令和3年の日本人の死因は1位が悪性新生物(がん、2位が心疾患、3位に老衰がきて4位が脳血管疾患でした。

 がんや心疾患、脳血管疾患は生活習慣病と大きな関係がある病気です。つまり、生活習慣病がきっかけで亡くなっている方が毎年のように大勢いることを示しています。


| 生活習慣病に関連する病気

 生活習慣病には、一般に次のような病気が含まれています。

  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 動脈硬化
  • がん

 糖尿病とは、血糖値が高い状態が続く病気のことです。インスリンの分泌量が減ったり、働きが悪くなったりすることで発症します。

 血糖値が高い状態が続くと、神経障害や網膜症、腎症などの合併症を引き起こすことがあるため注意が必要です。疑いがある方も含めると、成人の約6人に1人は糖尿病であるといわれています。

 高血圧は、血圧が高い状態が続くことです。診察室で測った血圧が複数回にわたり140/90mmHg以上になると高血圧と診断されます。 生活習慣病による死亡にもっとも大きく関与していることから、高血圧の予防や治療はとても重要です。

 脂質異常症はLDLコレステロールやHDLコレステロール、トリグリセリドの血中濃度に異常がある状態のことです。LDLコレステロールは悪玉と呼ばれており、増えすぎると問題となります。

 HDLコレステロールは善玉と呼ばれており、こちらは少なすぎることが問題です。トリグリセリドは中性脂肪のことで、LDLコレステロールと同じく増えすぎが問題となります。

 動脈硬化は血管の弾力性が失われた状態です。LDLコレステロールが血管内に沈着や、高血圧や加齢の影響で起こります。がんも生活習慣が大きく絡んでいる病気です。緑黄色野菜の摂取量が少なかったり塩分を摂りすぎていたり、喫煙をしていたりなどの習慣ががんを招くといわれています。


| 生活習慣病の原因

 生活習慣病の原因としては、次のものが代表的です。

  • 食生活の乱れ
  • 運動不足
  • 喫煙
  • 飲酒
  • ストレス

 塩分量が多いものや脂っこい食事は高血圧や脂質異常症の原因となります。また、果物や野菜の摂取量が低いと、がんや心血管疾患で亡くなる方が増える傾向にあることも最近の研究でわかりました。 運動不足は肥満を招いたり血管の弾力性を低下させたりすることから、生活習慣病の原因となります。

 喫煙は、健康に悪いイメージをもっている方が多いのではないでしょうか。脳卒中や虚血性心疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの原因となるだけでなく、がんや歯周病にも関係があります。百害あって一利なしといわれるほど、喫煙は体に悪い影響を多くもたらすものです。

 飲酒は、メタボリックシンドロームやがん、糖尿病や高血圧などと関係があります。過度なストレスは血圧を上げたり飲酒量や喫煙量を増加させたりすることにつながるため、注意が必要です。


 

| 生活習慣病の予防方法

 生活習慣病は私たちの普段の生活が大きく関与していることから、予防のためにはまず生活習慣の見直しを行いましょう。

  • バランスのよい食事を心がける
  • 適度な運動を行う
  • 禁煙する
  • 飲酒量を減らす
  • ストレスを溜めない

 たとえば高血圧は、塩分量を減らすことで予防が可能です。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日の食塩摂取量を男性で7.5g未満、女性で6.5g未満にするよう推奨されています高血圧は塩分の過剰摂取が原因となりやすいため、塩分量を控えることで予防につながるのです。

 運動は高血圧や糖尿病、脂質異常症などの予防に効果があります。糖尿病の場合、ややきついと感じる程度の有酸素運動を週に3~5回、1回あたり20~60分の運動を行うことで血糖値の改善が可能です。

 脂質異常症においても、運動を行うことで善玉であるHDLコレステロールを増加させ、トリグリセリドを低下させることができます。

 喫煙は血圧を上昇させたり、善玉であるHDLコレステロールを減らしたりなどの働きがあるため、禁煙を心がけましょう。インスリンの働きを妨げる働きもあることから、血糖値の上昇にも関与しています。

 飲酒量が多い方は、節酒を心がけることが大切です。飲酒量を制限することで血圧が下がったり、血中のトリグリセリドが減ったりすることがわかっています。

 ストレスを溜め込まないことも生活習慣病の予防には大切です。高血圧の患者さんでは血圧が正常な方と比べて2倍以上もストレスにさらされているというデータがあります。 趣味の時間を作ったり運動を行ったりして、ストレスはこまめに発散していきましょう。


| 生活習慣病の治療方法

 生活習慣病は、薬を使った治療だけではなく食事や運動などあらゆる面から治療が行われていきます。まず行うのが、食事療法運動療法です。

  • 塩分を摂りすぎない
  • お酒を飲みすぎない
  • 果物や野菜を食べる
  • 有酸素運動を行う

 などをまずは行っていきましょう。食事療法や運動療法で血圧や血糖値、脂質の値が改善されれば薬を使う必要はありません。ただし、食事療法や運動療法はやめてしまうと、血圧や血糖値などの値は徐々に元通りに戻っていくことがわかっています。そのため、毎日の習慣として行うことが大切です。

 食事療法や運動療法で十分な効果が見られない場合は、薬を使った治療が検討されます。高血圧なら降圧薬、糖尿病なら血糖降下薬、脂質異常症では異常な数値が出ている脂質の種類に応じて薬が選択されることが基本です。

 生活習慣病の治療に使われる薬にはさまざまな種類があり、患者さんの状態や体質に合わせて適切なものを選択します。


| 日本人の死因の中で占める生活習慣病の割合とは

 日本人の三大死因であるがんや心疾患、脳血管疾患はすべて生活習慣病と関わりのある疾患です。「令和3年(2021)人口動態統計」によると、全死亡者に占める三大死因の割合は以下のようになっていました。

  • がん…26.5%
  • 心疾患…14.9%
  • 脳血管疾患…7.3%

 つまり、三大死因だけで見ても生活習慣病は死因の48.7%を占めているのです。日本人の約2人に1人は、生活習慣病が原因で亡くなっているといえます。

 生活習慣病の一つである高血圧を完全に予防するだけで、年間に10万人もの命を救えるともいわれている ことから、予防に努め適切な治療を行っていくかがいかに大切だということがわかるでしょう。


 

| まとめ

 生活習慣病とは、食生活や運動習慣、喫煙や飲酒などの生活習慣が原因で発症する病気の総称です。糖尿病や高血圧、脂質異常症などが代表的な生活習慣病として知られています。

 生活習慣病になったからといってすぐに命に関わるわけではありませんが、後にがんや心疾患、脳血管疾患へとつながっていくため注意が必要です。

 生活習慣の見直しによって予防できたり症状を抑えたりすることができるため、健康を守るためにも生活習慣を意識した毎日を送るようにしましょう。


出典:国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト (果物・野菜摂取と死亡リスクとの関連について)
  :厚生労働省(e-ヘルスネット)
  :厚生労働省(令和3年(2021) 人口動態統計(確定数)の概況)

文/岡本 妃香里

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