肝硬変とは?気になる原因や症状についても解説します!
肝硬変は初期段階の場合、症状が現れにくい病気です。
症状に気付かず放置すると、肝硬変が進行し、さまざまな合併症が併発します。
食事療法に加え、長期的な薬物療法が必要になるでしょう。
そこで今回は、肝硬変の原因や症状、治療方法について解説します。
肝硬変に関する知識を蓄えておくことで、肝機能が低下し、症状が出始めた際に適切な対処が行えるようにしておきましょう。
| 肝硬変とは?
肝硬変とは、肝障害や肝炎が進行し、肝臓が硬くなる病気のことです。
慢性的な肝炎により肝細胞が破壊と修復を繰り返すことで、繊維質(かさぶたのようなもの)が蓄積し、肝臓内部に壁が作られます。
壁が作られると、肝臓の硬化・縮小が引き起こり、肝機能が低下するでしょう。
| 肝硬変の原因
肝硬変の原因は3つです。
1つ目は、肝炎ウイルス感染です。 肝炎ウイルスの代表的なものとしては、 B型肝炎ウイルス(HBV)と C型肝炎ウイルス(HCV)が挙げられます。
2つ目は飲酒です。
過度な飲酒は、腎不全や肝臓の腫れなどを引き起こし、肝硬変に発展することがあります。
3つ目は生活習慣の乱れです。
運動不足や食生活が乱れると、生活習慣病にかかり、 非アルコール性脂肪肝炎になる可能性があります。
| 肝硬変の症状は?
肝硬変の症状は2つに分けられます。
1つ目は代償性肝硬変です。
肝硬変における初期段階で、肝機能が正常に機能しているため、自覚症状が出づらくなっています。人によっては食欲不振や疲労感、だるさなどを感じますが、風邪などと区別がつきにくいです。そのため、早期発見が難しい病気と言えるでしょう。
2つ目は、非代償性肝硬変です。
肝硬変における中期〜末期の段階で、主に7つの症状がみられるようになります。
1つ目は、くも状血管拡張です。
クモの脚のように毛細血管が赤く盛り上がって拡張する状態になります。
主に胸や二の腕、肩などに症状が現れるでしょう。
2つ目は、黄疸です。
血液中の ビリルビン(赤血球に含まれる黄色い色素)が増加し、目の結膜や皮膚が黄色く変色します。尿の色も影響を受け、通常の尿の色より濃い色が出るのが特徴です。
3つ目は、腹水・浮腫です。
血液中のアルブミン(タンパク質)が減少し、お腹に水がたまります。
症状としては、お腹が張ったり、手足が浮腫んだりするでしょう。
4つ目は、羽ばたき振戦です。
自分の意思に反して手や指が震え始めます。
肝機能低下により、神経や筋肉がコントロールできなくなることが原因です。
5つ目は、女性化乳房です。
男性の乳首や乳房が大きくなります。
肝機能低下により、 エストロゲン(女性ホルモン)の代謝が機能しなくなることが原因です。
6つ目は、手掌紅斑です。
小指の付け根や親指などが赤くなります。
7つ目は、出血です。
肝機能低下で血液を固める凝固因子が機能しなくなり、出血しやすくなったり、血が止まりにくくなったりします。
| 肝硬変の検査・診断方法
肝硬変は次の3つの検査・診断方法を用いて調べます。
1つ目は、腹腔鏡検査です。
腹腔鏡をお腹の中に入れ、肝臓の表面を確認します。
また、 肝組織生検(組織を採取する方法)を行い、確定診断を行うのです。
2つ目は、画像診断検査です。
CTやMRI、腹部エコーなどの画像診断により、肝機能の状態を確認します。
エコーでは、肝臓にプローブをあてた際に、内部が荒く描出される場合は肝硬変の進行が疑われます。
CTでは腹部をスキャンすることで肝表面の凹凸、脾臓の大きさ、腹水などの確認が可能です。
MRIでは胸部にあてた板を振動させ、振動の速さで肝臓の硬さを算出します。
上記の機器を用いて肝臓の大きさや形状などを確認することで、肝硬変の診断が可能です。肝臓が小さくなっていたり、形状がゴツゴツしたりしていると肝硬変と診断できるでしょう。また脾臓の腹水や腫大が確認できる場合も同様の診断が可能です。
3つ目は、血液検査です。
血液を検査し、 GPT(ALT)やGOT(AST)の値を確認します。
肝硬変の症状が進んでいる場合は、GOT(AST)の値が上昇する可能性が高いです。
また、正常値から離れた値であればあるほど、肝硬変の進行が疑われます。
上記以外には、以下の項目などを検査し、値をみるのが一般的でしょう。
- コリンエステラーゼ
- 血小板
- アルブミン
- プロトロンビン時間
- アンモニア
- 総ビリルビン
| 肝硬変の治療方法
肝硬変の治療は、種類ごとで治療方法が異なります。
代償性肝硬変の場合は、専門的な治療が不要です。
生活習慣や食習慣を見直し、バランスのとれた食事を行う必要があります。
非代償肝硬変の治療方法は、主に3つの合併症を治すことです。
1つ目は、肝性脳症になります。
肝臓で除去されるはずの毒素アンモニアが血液内に蓄積し、肝性脳症が発症する病気です。
治療法としては、 薬物療法や 食事療法を行い、腸内環境を整えて改善を図ります。
2つ目は、食道静脈瘤です。
食道静脈へ血液が逆流することでコブ状の静脈瘤ができます。
痛みなどは発生しませんが、放置すると静脈瘤が破裂する危険性が高いです。
治療法としては、 注射針で硬化剤を注入して静脈瘤を固めたり、静脈瘤を内視鏡で縛って取り去ったりする方法があります。
3つ目は、腹水です。
下腹部が膨張し、最悪の場合、呼吸困難に陥る病気になります。
治療法としては、塩分と水分を制限し、様子を観ながら利尿剤を投与する流れが一般的です。またアルブミンを投与し、肝臓への負担を抑える治療が必要でしょう。
| 日常生活でできる肝硬変の対策・防止方法
現代医学においても、肝硬変の治療は薬物療法で効果が見込めるものがほとんどありません。そのため、肝硬変の初期症状である代償性肝硬変にならないための防止策をとることが重要です。
代償性肝硬変の対策・防止策は2つあります。
1つ目は、栄養バランスのとれた食事を行うことです。
栄養バランスのとれた食事を行うことで、損傷した肝臓が再生し、肝機能が回復します。
また糖尿病の方であれば糖質制限、むくみや腹水の方であれば水分と塩分を控えるといった対策が必要でしょう。
2つ目は定期検診を受けることです。
特に代償性肝硬変の場合、初期症状がほとんど現れないため、早期発見が難しいとされています。そのため、定期検診を受け、検査を複数受けることで早期発見の確率が上がるのです。健康的な生活を送るためにも、定期検診は必ず受診しましょう。
| まとめ
今回は、肝硬変の原因や症状、治療方法について解説しました。
肝硬変は、肝障害や肝炎が進行し、肝臓が硬くなる病気です。
初期段階では、症状が出づらく、把握するのが難しいでしょう。
そのため、定期検診に通い、早期発見の体制を作っておく必要があります。
症状が進むと、腹水やくも状血管拡張、黄疸や羽ばたき振戦といったさまざまな症状が現れます。確定診断のためには、エコー検査やCT検査、MRI検査や血液検査などが有効です。
肝硬変の防止策としては、栄養バランスのとれた食事を行うことが重要になります。
糖質制限したり、塩分を控えめにしたりといった対策が必要でしょう。
また飲酒を控えたり、適度な運動を行って生活習慣を整えることも重要です。
規則正しい健康的な生活を送り、肝硬変防止に努めましょう。
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