膝が痛くなる原因は?膝の痛みと治療について
膝の痛みや違和感を放置すると「しゃがむ」のが大変になったり歩けなくなったり日常生活に支障をきたす可能性があります。今回は、膝が痛くなる原因の1つ「変形性膝関節症」の症状や治療法、予防方法を解説します。膝が痛くて悩んでいる方、変形性膝関節症について詳しく知りたい方はご覧ください。
1. 変形性膝関節症は時間をかけて進行する痛みを伴うこともある病気
2. 変形性膝関節症の原因は加齢や姿勢、生活習慣も関係している
3. 変形性膝関節症の治療
4. 変形性膝関節症を予防するには
5. まとめ
| 変形性膝関節症は時間をかけて進行する痛みを伴うこともある病気
変形性膝関節症は、膝のお皿の部分の軟骨が 「すり減る」ことで膝の痛みや骨の変形をきたす50歳過ぎの女性に多い病気です。膝が痛む初期症状を放置すると症状が進行して歩けなくなる可能性があるため、なるべく早く受診をして治療を受ける必要があります。
まずは、変形性膝関節症の症状を状態別にみていきましょう。
変形性膝関節症の初期症状
【変形性膝関節症の初期によくみられる症状】
- 膝の違和感
- 膝が動かしにくい
- 階段の上り下りや振り向くときに膝に痛みを感じる
変形性膝関節症の初期は 「動いた時に痛みを感じる」ケースや 「何となく膝が動かしにくい」といった症状があらわれます。例えば、朝起きて歩こうとしたら膝に「ズキッ」とするような鈍い痛みを感じたり、後ろから声をかけられて振り向いた時に膝が痛かったりするケースが該当します。
変形性膝関節症の中期症状
【変形性膝関節症の中期によくみられる症状】
- 膝が痛くて歩くのがきつい
- 正座や「しゃがむ」動作がしづらい
- 歩くと膝から「きしむような音」がする
変形性膝関節症が進行すると、日常生活に支障をきたすようになります。今まで少し休めば膝の痛みが消えていたのに常に「ズキズキ」して、歩いたり長時間立っていたりするのがキツイと感じることもあります。また、歩行中に膝から 「きしむような音」を感じるケースや膝が痛くて正座ができないなどの症状もでる場合があるため、変形性膝関節症の中期症状に該当する方は早期受診を検討してください。
変形性膝関節症の末期症状
【変形性膝関節症の末期によくみられる症状】
- 歩いたり座ったりする動作が困難
- 痛みや変形で膝が「ピン」と伸びなくなる
- 安静にしていても膝が「ズキズキ」痛む
膝の痛みや違和感を放置して変形性膝関節症の症状が進行すると、安静にしていても膝が痛むようになり、最終的には 歩行ができなくなる可能性があります。同時期には、膝の変形と痛みが強くなり膝を伸ばそうとしても伸ばしきれない症状が起こるケースがあります。
膝の軟骨は一度「すり減る」と元には戻らないため、膝への違和感や痛みを覚えたらすぐに整形外科を受診して進行を防ぐことが大切です。
| 変形性膝関節症の原因は加齢や姿勢、生活習慣も関係している
変形性膝関節症の原因は次の4つが考えられます。
-
- 加齢によって膝のクッション機能が衰え炎症を起こすため
- 筋肉が衰えて膝にかかる負担が大きくなるため
- O脚やX脚など姿勢の不良によって膝にかかる負担が大きくなるため
- 激しい運動や怪我で膝を支える靭帯が損傷するため
1点ずつ解説します。
原因1.加齢によって膝のクッション機能が衰え炎症を起こす
年齢を重ねると、滑液と呼ばれる関節をスムーズに動かすための液体の働きが衰えて膝の骨が擦れやすい状態になります。膝を支える骨同士が擦れると膝の周辺に炎症を起こし変形性膝関節症につながると考えられています。
原因2. 筋肉が衰えて膝にかかる負担が大きくなる
膝の周辺には太ももの前側の筋肉 「大腿四頭筋」や太ももの裏側の筋肉 「ハムストリングス」など膝の動きと関係が深い大きな筋肉が複数あります。
加齢や運動不足によって筋力が低下すると膝にかかる圧力(体重)が大きくなり、変形性膝関節症を引き起こすリスクが高くなります。
原因3. O脚やX脚など姿勢の不良によって膝にかかる負担が大きくなる
若い方であっても、姿勢不良によって膝関節にかかる負担が大きくなれば変形性膝関節症になるリスクがあります。O脚やX脚だから病気であるわけではないですが、姿勢が膝本来の機能にマイナスの影響を与える可能性があるため、膝に違和感を覚えたらすぐに受診することが大切です。
原因4. 激しい運動や怪我で膝を支える靭帯が損傷する
膝の骨は筋肉だけでなく複数の靭帯によっても支えられています。激しいスポーツや怪我などによって靭帯が傷つくと、膝を支える機能が低下して関節の痛みや変形を引き起こすケースがあります。
| 変形性膝関節症の治療
変形性膝関節症の治療は次の3つに分類されます。
- 運動療法
- 薬物療法
- 手術療法
変形性膝関節症の治療は「この症状だから必ず特定の治療をする」わけではなく、これまでに経験した病気や身体の状態を総合判断したうえで、医師と相談して方針を定めます。
一般的な治療方法について解説します。
治療方法1.運動療法
運動療法とは主に リハビリテーションによって病気で失われた機能の回復を図る方法です。
運動療法は 「立つ・歩く・座る」など日常動作の運動機能に詳しい理学療法士が中心となり、筋力トレーニングや起立訓練・歩行訓練などを実施します。
病院やクリニックへ受診した時だけでなく、理学療法士が在宅に訪問して自宅もしくは自宅の周辺でリハビリテーションをおこなう場合もあります。
治療方法2.薬物療法
変形性膝関節症の薬物療法は大きくわけて次の4つに分類されます。
- クリームや軟膏(なんこう)などの塗り薬で痛みのケアをする
- 鎮痛効果が期待できる内服薬の服用
- 膝の関節にヒアルロン酸注射をする関節内注射
- 内服薬の服用ができない方には座薬
薬物療法の目的 は変形性膝関節症による膝の痛みを緩和することです。そのため、運動療法とは異なり身体の機能(歩く・座る・膝を伸ばすなど)を回復する効果は期待できません。
治療方法3.手術療法
薬物療法や運動療法を実施しても効果があらわれなかった場合や変形性膝関節症の症状が進行していると医師が判断した場合は、手術療法を検討します。
変形性膝関節症の手術で用いられる術式は次の3つです。
- 関節鏡視下手術
- 高位脛骨骨切り術
- 人工関節置換術
どの手術を選択するかは患者さん本人の意志と医師の判断です。それぞれの術式を簡単に解説します。
関節鏡視下手術
関節鏡視下手術は、傷んだ軟骨をとりのぞく術式です。手術の時間が短く費用が最も安い点がメリットですが、状態によっては再発の可能性があります。手術に要する費用は 約25万円(3割負担の方なら約7.5万円)です。
高位脛骨骨切り術
高位脛骨骨切り術は、膝の骨の一部をとりのぞき、変形性関節症による膝の変形を矯正する術式です。手術に要する費用は 約146万円(3割負担の方なら約43万円)です。
人工関節置換術
人工関節置換術は、膝の骨の一部または全部を人工関節に置き換える術式です。「膝の曲げ伸ばし」がしにくくなることはありますが、痛みを根本から解決したい時に有効とされています。手術に要する費用は 約186万円(3割負担の方なら約55万円)です。
| 変形性膝関節症を予防するには
変形性膝関節症は放置すると進行して最終的には歩いたり立ち上がったりなど日常動作が困難になる可能性があります。現在、すでに膝に痛みを感じていたり違和感を覚えていたりする方は無理な運動はおこなわず受診するようにしてください。
予防方法1.膝に負担をかけないようにする
「しゃがむ」「階段の上り下り」は膝に大きな負担がかかる動作です。膝に痛みはないが、たまに違和感を覚える方は膝への負担を減らすために階段ではなく、なるべくエレベーターやエスカレーターを使うよう心掛けましょう。
予防方法2.膝まわりの筋力トレーニングをする
膝に痛みや違和感がなく、変形性膝関節症の予防をしたい方は膝周りの 筋力トレーニングがおすすめです。
運動経験・習慣がある方はスクワットや階段昇降トレーニングなどハードな運動をするのもよいですが、運動経験がない・浅い方は1日の歩行数を増やすことからスタートしてもよいでしょう。
少し寄り道をして帰ったり、体力に余裕がある方はランニングをしたりと負荷が強すぎない程度に変形性膝関節症予防のための運動をおこなってください。
| まとめ
変形性膝関節症の症状や原因、予防方法について解説しました。要点をまとめます。
- 変形性膝関節症は50代以降の女性に多く、進行すると膝に痛みや変形が生じる可能性がある
- 変形性膝関節性の原因は加齢や筋力低下とされている
- 変形性性膝関節症の治療は、運動・薬物・手術療法が用いられる
- 変形性膝関節症を防ぐには膝に負担をかけないこと、軽い運動をおこなうことが大切である
変形性膝関節症による膝の痛みや変形は症状が軽いうちに受診して適切な治療を受けることで改善が期待できます。気になることがあれば、すぐに「かかりつけの病院」もしくはお近くの整形外科へ足を運んでください。
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。