関節リウマチとはいったい何?詳しく解説します!
1. 関節リウマチとは
2. 関節リウマチの患者数(患者調査より)
3. 関節リウマチの症状
4. 関節リウマチの進行による関節の変形
5. 関節リウマチの関節外に現れる症状
6. 関節リウマチの治療方法
7. まとめ
| 関節リウマチとは
関節リウマチとは自己免疫疾患の一種です。
体内の免疫機能が異常をきたすことで関節内部の滑膜(かつまく)などが炎症を起こし、痛みや腫れが生じます。
炎症が継続し悪化した場合、骨や軟骨の損傷から関節の変形や機能障害を招く病気です。
30代から50代で発症するケースが多く、男性よりも女性のほうが 2倍から3倍の比率で罹患しやすい傾向があります。
| 関節リウマチの患者数(患者調査より)
関節リウマチの患者数は、いったいどのくらいいるのでしょうか。
参考までに厚生労働省「患者調査」 のデータを紹介します。
調査時期 | 総患者数 |
1987年10月 | 268,000人 |
1990年10月 | 293,000人 |
1993年10月 | 279,000人 |
1996年10月 | 326,000人 |
1999年10月 | 306,000人 |
2002年10月 | 321,000人 |
2005年10月 | 317,000人 |
2008年10月 | 336,000人 |
2011年10月 | 332,000人 |
2014年10月 | 336,000人 |
2017年10月 | 373,000人 |
※2011年は宮城県石巻医療圏、気仙沼医療圏、福島県を除いた結果です
日本の総人口を1億2,000万人と仮定した場合、 0.3%ほどが関節リウマチに罹患している計算です。そのことから、関節リウマチが決して珍しい病気ではないことがわかります。
| 関節リウマチの症状
関節リウマチの初期には、次の症状のいずれかまたは複数が現れます。
- 起床直後のこわばり
- 関節の腫れや痛み
- 微熱や倦怠感、食欲不振の継続
起床直後のこわばり
朝の起床直後に手を開いたり、身体を動かす際に負荷や抵抗を感じる 「こわばり」の状態が一定時間継続します。
個人差はありますが、少しずつ動かしているうちに 30分から60分ほどで回復することが一般的です。
朝の起床時以外にも、昼寝の後や椅子に座った状態が長時間続いた際に「こわばり」が起こるケースも存在します。
関節の腫れや痛み
手や手指、手首や足首の関節に腫れや痛みが生じます。
手のひらから指につながる 「中手指節関節(ちゅうしゅしせつかんせつ)」[miyano ka5] や、指の第二関節である 「近位指節間関節(きんいしせつかんかんせつ)」に症状が現れることが多いようです。
炎症には左右対称の関節に起こる「対称性」のほかにも、複数の関節にて起こる「多発性」や様々な部位に生じる「移動性」があります。
微熱や倦怠感、食欲不振の継続
微熱(37℃ほど)や倦怠感、食欲不振が継続する場合には、関節リウマチを疑ってみても良いかもしれません。
貧血や体重の減少が関節リウマチの前兆となるケースも存在します。
| 関節リウマチの進行による関節の変形
関節リウマチが進行することで関節の骨や軟骨が損傷し、次のような関節の変形を招きます。
関節変形の名称 | 概要 |
紡錘状腫脹(ぼうすいじょうしゅちょう) | 糸巻きやラグビーボールに似た形状(紡錘状)の腫れ |
スワンネック変形 | 指の第一関節が折れ曲がり、第二関節が沿ったままの状態 白鳥(スワン)の首のように見えることが名前の由来 |
ボタン穴変形 | 指の第二関節が折れ曲がり、第一関節が沿ったままの状態 |
尺側偏位(しゃくそくへんい) | 手指のすべてが小指の方向(尺側)に斜めに曲がったままの状態 |
槌指(つちゆび) | 足の指がハンマーに似た形で曲がったままの状態 |
外反母趾(がいはんぼし) | 母趾(足の親指)が小指の方向(外反)に曲がったままの状態 |
| 関節リウマチの関節外に現れる症状
関節リウマチには、関節外の症状が見受けられる点も忘れてはなりません。
前述した微熱や倦怠感や食欲不振、貧血や体重の減少のほかにも、眼や肺や腎臓、心臓や皮膚などにも関節リウマチにて生じる疾患があります。
眼に生じる疾患
強膜(白目)への痛みや充血となって現れる強膜炎(きょうまくえん)や、上強膜炎(じょうきょうまくえん)も関節リウマチが関係する疾患です。
肺に生じる疾患
関節リウマチによって肺に生じる代表的な疾患として、 「間質性肺炎(かんしつせいはいえん)」があげられます。
間質性肺炎(かんしつせいはいえん)の主な症状は、息切れと痰が発生しない咳(空咳)です。病状が進行することで、肺が膨らみにくい線維状となる肺線維症(はいせんいしょう)へのリスクが想定されます。
間質性肺炎(かんしつせいはいえん)は、リウマチの治療に使われる「抗リウマチ薬」の副作用のひとつです。
腎臓などに生じる疾患
腎臓などに生じる疾患には、二次性アミロイドーシスがあります。関節リウマチによる炎症が長期化した際に、腎臓などにアミロイドが付着することで起こる病気です。
アミロイドが腎臓に付着した際には腎不全や蛋白尿などの腎機能障害。心臓へのアミロイドの付着であれば心不全や不整脈など。
アミロイドが消化管に付着した場合、下痢や便通異常などが発生するリスクがあります。
心臓に生じる症状
関節リウマチは心筋炎や心膜炎に結びつく胸部の痛みや、息切れや動悸を起こすことも想定されます。
皮膚に生じる症状
関節リウマチは「リウマトイド結節」を招くケースもあります。
リウマトイド結節とは、膝や肘、指や後頭部などに生じる小豆や大豆程度の大きさの「しこり(硬め)」です。痛みを伴わない症状でもあるため、放置しないように注意しましょう。
| 関節リウマチの治療方法
関節リウマチの治療方法は次の4種類です。
- 薬物療法
- 休息期間を設ける
- 理学療法
- 手術療法
薬物療法
関節リウマチによる炎症や痛みを緩和させることを目的とした薬剤の投与です。
薬剤の種類 | 期待される作用 |
NSAID(非ステロイド系抗炎症薬) | 関節リウマチによる腫れや痛みを軽減させる |
DMARD (疾患修飾性(しっかんしゅうしょくせい)抗リウマチ薬) | 関節リウマチが進行するのを遅らせられる |
コルチコステロイド | 免疫の作用による関節リウマチの症状を抑える抗炎症薬 |
免疫抑制薬 | 免疫の作用を抑えることで関節リウマチの進行を遅らせる |
生物製剤 | 生物を原材料とした免疫抑制薬 炎症を抑える目的で用いられる |
休息期間を設ける
関節リウマチで起こされた炎症の緩和には、休息期間を設けることも大切な要素です。痛みのある部位を動かさずに安静にする時間も治療の一端となります。
理学療法
炎症を起こした関節が固まるのを防ぐためにマッサージやストレッチ、関節や筋肉を温める 温熱療法なども採用されます。
手術療法
関節リウマチの症状や進行具合によっては、手術療法も選択肢となり得ます。膝関節や股関節を人工関節に切り替える「人工関節置換術」です。患者の年齢や体力を考慮する必要があるため、希望する方のすべてが手術を受けられるわけではありません。ご注意ください。
| まとめ
ここまで、関節リウマチに関する次の項目を紹介してきました。
- 関節リウマチの患者数(患者調査より)
- 関節リウマチの初期症状
- 関節リウマチの進行による関節の変形
- 関節リウマチの関節外に現れる症状
- 関節リウマチの治療方法
関節リウマチは早期の治療にて、寛解(かんかい)する確率が高まる病気です。起床直後のこわばりなどが頻繁に起こるようであれば、医療機関を受診することをおすすめします。
関節リウマチの治療は長期化することが予想されるため、信頼できる「かかりつけ医」を見つけることが寛解への第一歩です。
出典:厚生労働省 ”リウマチ対策の現状について“
厚生労働省 ”平成29年(2017)患者調査の概況“
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