認知症

認知症

札幌医科大学と認知症治療に関する
共同研究契約を締結

札幌医科大学の名誉教授であり、ONODERAメディカルの顧問でもある藤宮氏は、解剖学講座の教授として100体以上の脳を観察し、2万枚以上の電子顕微鏡写真を解析してきました。

その結果、アミロイドβ蛋白やタウ蛋白が溜まり、脳が萎縮している状態であっても、認知症を発症していない人が存在することが分かりました。

これら認知症を発症していない人の脳では、アストロサイト(*2)という脳内の神経細胞(ニューロン)の周りに存在する細胞が活発に機能していることを発見したのです。

アルツハイマー型認知症を発症する仕組み

(*1)アミロイドβ蛋白が蓄積されて出来るものを老人班と呼び、脳内の神経細胞への毒性があるため、神経細胞の変性を引き起こす。
さらに、アミロイドβ蛋白が蓄積することにより、タウ蛋白も溜まる。この物質たちが溜まる原因は「加齢」「遺伝的要因」「環境要因(頭部外傷や高血圧、糖尿病といった生活習慣病によるもの)」と言われている。

(*2)正常な脳内において、神経細胞への栄養補給など神経細胞のサポート的な役割を担うだけでなく、神経細胞の活動を調節するなど、多彩な機能を持つグリア細胞の一つ。ヒトの大脳皮質の中では最も数が多い細胞であるが、増殖はしない。

エクソソームとは

エクソソームとは、身体を構成するあらゆる細胞から放出される細胞外小胞です。幹細胞を培養する過程において、何百種類もの成⾧因子や、500種類以上のたんぱく質を含む成分が放出されます。培養液中から限外ろ過法を用いてエクソソームのみを濃縮し治療に使います。

細胞間のコミュニケーションツール

エクソソームは小さなカプセルで、内にはタンパク質、核酸(マイクロRNA、メッセンジャーRNA などの情報伝達物質)、脂質などの様々な生理活性物質が含まれています。細胞外に放出されたエクソソームが受け取る側の細胞へと情報を伝達するため、細胞間のコミュニケーションツールとして、働きが注目されています。

組織の修復能力

間葉系幹細胞から分泌されるエクソソームには、炎症を抑え、身体の組織を再生修復する作用があることがわかってきました。組織の損傷部位に幹細胞が集積し、放出されたエクソソームなどが細胞の修復にあたります。


つまり、エクソソームを用いてアストロサイトを活性化させることが、認知症の治療につながると考え、ONODERAメディカルと札幌医科大学は、再生医療の力が持つ新たな可能性を追求してまいります。

研究の背景
~高齢化社会が進む日本の課題~

2025年には団塊の世代が75歳以上となり、日本の平均寿命は男性が81歳・女性が87歳となるなど、年々高齢化が進んでいます。
高齢化が進むことで切り離すことが出来ないテーマとなっているのが【認知症】です。厚生労働省によると、日本における65歳以上の認知症の人の数は約600万人(2020年時点)と推計され、2025年には約700万人(高齢者の約5人に1人)が認知症になると予測されています。
認知症とは、脳の認知機能が低下し、日常生活や社会生活に支障が出てきてしまう症状のことを指し、アルツハイマー型認知症・血管性認知症・レビー小体型認知症の大きく3つに区分けされます。
日本国内の認知症患者のうち、アルツハイマー型認知症が全体の約7割を占めています。
現在、認知症を完全に治す根本的な治療方法はなく、薬物治療やリハビリテーションにより症状を軽減させ、進行を遅らせることが治療の目的とされています。

日本の人口推移と認知症患者の推移

認知症の種類別割合

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